政治・自らの「権利」を葬り去った国会――国会図書館法の改正

国会図書館法の改正に関して続報がありました。

今回の館長格下げの法改正は実質的に官僚館長を固定化することになったのである。では、なぜ官僚館長では駄目なのか。官僚の立場では内閣の方針や政党会派の圧力に抗しきれないからである。そのような圧力から議員の調査活動を守ることができるように、館長には閣僚としての地位を与え両議長が任命し、「館長は、政治活動を慎み、政治的理由により罷免されることはない」(同法4条2)とその身分を保障し、国会の立法活動の番人としたのである。これは、先人たちが戦前の反省からつくりだしたものであった。 今回の措置は、国会が立法府としての権限を自らの手で葬り去ったことになった。このことは、単に館長の給料の問題という低次元のものではなく、国会運営の根幹に関わる問題であることを認識する必要があろう。 国立国会図書館法はその前文の中で「真理が我らを自由にするという確信に立って、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される」と述べている。