デジタルコンテンツの振興戦略(案)

内閣官房コンテンツ専門調査会では、「デジタルコンテンツの振興戦略(案)」を元に議論されています。
この戦略案では、基本目標、視点、目標、提言(課題、解決策)の形でまとめられています。
デジタルコンテンツの長期保存という直接的な目標、提言は、掲げられていませんが、長期保存と将来に亘っての利用の保証という面では、この戦略により解決が期待される部分も多く見られます。
特に、著作権上の課題、デジタルアーカイブ化とコンテンツ発信のための基盤技術開発、デジタルコンテンツに関する研究開発など、解決策の方向性まで示されています。
長期保存と将来に亘っての利用の保証は、収集・組織化、保存(変換を含む)、そして提供までの全てにおいて期待通りに機能して初めて実現します。
このように国が支援する「デジタルコンテンツの振興戦略(案)」のような戦略・施策における協力関係、成果物を如何に活用していけるかを考えていくことが重要だと思います。

目標1: ユーザー大国の実現
消費者であるユーザーがそれぞれの好みに応じて満足できるコ
ンテンツを、多様な種類と価格の中から自由に選択できるユーザー
大国を実現する。
(提言1)放送と通信の一体化の中で、デジタルコンテンツの供給を拡大する
(1)IPマルチキャスト放送の積極的活用
(2)コンテンツ流通経路の多様化促進
(提言2)バランスのとれたプロテクションシステムの採用を促進する
(1)透明な検討の場作りと継続的見直しプロセスの整備
(2)過去の教訓を生かした民間の取組の奨励
(提言3)ユーザーが豊かなコンテンツを楽しめるようにする
(1)過去に作られたコンテンツを利用するための著作権契約上の課題の解決
(2)音楽用CDにおける再販売価格維持制度の見直し
(3)コンテンツをより楽しめるためのユビキタスネットワーク技術の実用化
(提言4)デジタルによりコンテンツのアーカイブを充実し、再利用を促進する
(1)デジタルアーカイブ化とコンテンツ資産の情報発信の促進
(2)基盤的アーカイブ技術の開発の促進

目標2: クリエーター大国の実現
個々のクリエーターが適正なリターンを得ながら、最大限に能力
を発揮することにより、優れたコンテンツが豊富に生み出されるク
リエーター大国を実現する。
(提言5)クリエーターの能力発揮を支援する
(1)デジタル化を最大限に活かしたクリエーターの支援
(2)再利用による創作活動促進のための制度の整備
(3)資金調達のための関係法制の整備
(提言6)クリエーターが適正なリターンを得られるようにする
(1)デジタルコンテンツにおける公正かつ透明な契約慣行
(2)契約における自主基準やひな型の策定・見直し
(3)成功報酬型契約の導入
(提言7)コンテンツ分野における人材育成を図る
(1)大学等における教育の推進
(2)人材育成に関する産学連携
(3)育成されたコンテンツ人材の活用
(4)エンターテインメント・ロイヤーの育成
(提言8)デジタルコンテンツに関する研究開発を促進する
(1)コンテンツに関する技術開発の推進
(2)融合人材の育成
(3)産学連携の促進と研究成果の普及

目標3: ビジネス大国の実現
企業経営の近代化と国際化を図り、ビジネスの障壁となる規制や
商慣行をなくすことにより、国際競争力を有し、産業規模も大きい
ビジネス大国を実現する。
(提言9)世界を相手にビジネスする
(1)グローバルな視点によるビジネス展開
(2)競争力のあるコンテンツづくりと販売力の強化
(3)海賊版対策の強化
(4)外国人クリエーターの受け入れ
(提言10)著作権に関する課題を解決する
(1)映像コンテンツのブロードバンド配信に関する利用料率に係る取組の促進
(2)コンテンツ関係情報提供のためのポータルサイトの開発・普及
(3)著作権等管理事業者制度の活用
(4)書面契約の促進
(5)著作権関連ビジネスの充実
(6)私的使用目的の複製に係る制度の見直し
(7)デジタル時代に対応した法制度の検討
(提言11)国際標準をリードする
(1)国内標準の一本化
(2)国際標準獲得に向けた取組の強化