IT社会で求められる経営者の能力とは(茂木健一郎):前編

求められる能力の質が大きく変わってきている時代において、その能力を高めることを支援する機関や組織は、時期を逸せずに、新たな役割を果たしていかなければならないと思う。

実際、脳はIT社会以前とは全く違った使われ方をしています。
 例えば「学校の教科書をどうするか」という問題が議論されていますが、今の時代、歴史の年号を覚える必要なんてないわけでしょう。インターネットで検索すればあっという間に分かるわけですから。学校や職場で求められる能力の質自体が、どんどん変化してきていますよね。人間の能力は常に情報環境との関係によって定義されるものなので、情報環境が変われば、当然、必要とされる人間の能力も変わってくるというわけです。
〜中略〜
実はこれは、今はやりの前頭葉を使っているのです。前頭葉は“文脈”の切り替えの役割を担っている部位です。IT社会になるまでは、人はこういった脳の使い方はして来なかった。そう考えると、これからは前頭葉にとってどんどん“ヘビーな時代”になっていくかもしれませんね。