【上級】変化に強い情報システムを作る 第1回(前半)全体像とケース1:IT Pro

システムのライフサイクルを4年とするような時代ではなくなってきていると思う。現状の業務を満足するものとして、既に枯れた技術を適用して開発すると、4年も経てば世の中の変化に対応できないものになってしまう。
柔軟性、拡張性の高いシステムを構築し、急速な変化に対応できるようにする必要がある。
そのためには、システム開発に当たっては、発注者、受注者が共通の認識をもって拡張性の向上・維持に取り組んでいかなければならない。

企業が自社のビジネスに情報システムを利用する領域は,広がる一方だ。以前は会計や生産など企業活動の部分的な処理を効率化するに過ぎなかったが,現在ではほとんどの業務に使われ,業務を連携する役目を果たすようになった。言い換えるとシステム注1)は,企業のビジネスを投影したものになっている。
 一方,企業の経営環境は日々変化している。新商品や新サービスは次々と登場し,顧客管理や販売・物流,生産などの業務の変化も絶えることがない。システムの拡張性が低く,こうした変化への対応が遅れた場合,競争優位を維持することは困難になる。いくら良い経営戦略を立てたとしても,その戦略を執行できなければ企業の持続的成長は難しい。
 つまり企業が持続的に成長するためには,システムも「継続的に変化し成長するもの」でなければならない。システムは,カットオーバー(稼働)を無事に済ませるだけでは不十分になったのである。稼働直後から新たな拡張作業が始まることを想定しておかなければならない。
 そのためには,ユーザー企業とベンダーのITエンジニアが共同で,開発から運用・保守まで全工程にわたって拡張性の向上・維持に取り組む必要がある。