Ajax開発環境を無償にしたTIBCOは勝ち組? - @IT

Ajaxなどのリッチクライアントを単にWebブラウザの見栄えを向上させる技術から、企業システムのフロントエンドに必須の要素技術として捉える考え方は、今後のシステム再構築では重要なことだと思う。

SOAに基づいたITシステム基盤が整えば、各部門レベルで稼働しているシステムがサービスという形で利用できるようになり、これによってBPMの活用が進むと考えています。ただし、既存システムをサービスとして再定義するSOA的なアプローチは非常にコストがかかるのも事実です。そしてROI(投資対効果)はすぐには表れません。そこで、SOAとBPMを組み合わせて導入するアプローチに注目が集まっています。これはビジネス的な要件、例えば経営層にとって最も重要なプロセスがクレジットカードの決済業務だとしたら、そのプロセスに必要な部分からSOA基盤を作っていく。SOAとBPMを組み合わせると、こうした小さな単位でのビジネス統合が図れ、高いROIが得られるのです。

 われわれの見てきたユーザー企業では、重要度の高い特定業務からSOA/BPM化していく方がビジネス的に成功している場合が多いですね。ESB(Enterprise Service Bus:エンタープライズ・サービスバス)を導入して、全社的にSOAを構築するケースもありますが、ROIを定量化して評価しにくい傾向が出ています。全社的にSOA化する「ITアプローチ」、重要なところからSOA化する「トップダウン・アプローチ」と、2つの考え方があると思います。

 TIBCOではAjaxのことを「SOAの顔(Face of SOA)」ととらえています。つまりSOAだけでは、経営層やエンドユーザーに何が実現されたのかアピールすることができないので、Ajaxを使ったUIは重要な要素となってきます。Ajaxによるリアルタイムな情報更新や洗練されたユーザービリティは、SOAの魅力を効果的に表現してくれます。

 Ajaxを使ったリッチクライアントをSOAやBPMといった企業の基盤システムのUI構築に位置付けるTIBCOの戦略は、前回「リッチクライアントがSOAをのみこむとき」で紹介した国内ベンダ「サイオ」の提唱する「クライアント型SOA」にも通ずるところがあって、非常に興味深いものだった。リッチクライアントは単にWebブラウザの見栄えを向上させる技術から、企業システムのフロントエンドに必須の要素技術に発展しつつあるのだろう。